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2020 SUPER GT

2020 SUPER GT

臥薪嘗胆の思いが引き寄せた大逆転、感涙の王者に

 2020年1月12日、チームクニミツは「東京オートサロン2020」の会場において20年シーズンのチーム体制を発表。チームドライバーとして山本尚貴選手に加え、新たに牧野任祐選手の名がアナウンスされた。チームがターゲットとするのは、言うまでもなく「タイトル奪還」。2018年以来となる栄光を掴むことを第一に、強い戦いをすべくチームスタッフ全員が強い志を持ってシーズンへの準備を進めた。

 その一方で冬から春へと季節が移ろう中、新型コロナウイルス感染症拡大の歯止めが掛からず、オフシーズンのテストも思うように進捗せず。先行きの見えない形で時間だけが経過するというもどかしさの中、スタッフの皆がモチベーションを保つことに努力を重ねながらシーズン開幕を待つこととなった。

 ようやく迎えた開幕戦。パンデミックと化したウイルスの猛威によって季節はすでに夏へと突入しており、また、今シーズン初の戦いの舞台・富士スピードウェイでは無観客によるレース開催という前代未聞の事態が待っていた。色とりどりの応援フラッグやモータースポーツを愛するファンの姿もなく、あまりにも”物足りない”雰囲気ではあったが、GTマシンが轟かせるパワフルなエンジンサウンドに急き立てられたかのようにドライバーたちはベストパフォーマンスを披露しようと奮闘。山本&牧野という初コンビによるワンデーレースの初戦は、予選4位からスタートを切り、ホンダ勢トップの6位でフィニッシュした。

 コロナ禍で開催スケジュールの大幅変更を強いられた結果、今シーズンは富士スピードウェイ、ツインリンクもてぎ、そして鈴鹿サーキットの3箇所限定で開催されることになったSUPER GT。続く第2戦も富士での一戦となる。ただし、土曜日に予選、日曜日に決勝を行う本来のフォーマットへと戻された。真夏の暑さに加えて不安定な天候の中、決勝では予選7位から粘りの走りを見せると着実にポジションアップを果たし、5位チェッカー。連続入賞は果たしたもののチームとしてはタイヤ選択など戦略面での悔しさが募る結果となったことから、序盤戦での表彰台獲得を改めて意識し、次戦に取り組むこととなった。

 第3戦を迎え、戦いの舞台は鈴鹿へ。7月開幕、11月閉幕という短期決戦のため、慌ただしい準備の中で予選は8番手に甘んじる。だが決戦に向けじっくりミーティングを行い、思い切った戦略でポジションアップに打って出る。するとレースは想定以上に激しく荒れ、幾度となくセーフティカーが導入されるなどサバイバルレースの様相へ。一方、緻密な戦略が奏功、またリスタートも味方にして早くもレース前半の時点で表彰台圏内までポジションを上げていく。レース後半になっても存分な速さを見せ、トップ奪取を視野に入れてのパフォーマンスを披露。終盤に差が開き、優勝こそ叶わなかったが2位表彰台を手にした。

 初秋の第4戦はもてぎでの開催。前半戦最後の戦いは気温も低く、不意打ちの雨など不安定なコンディションに戸惑いつつ、予選では的確な判断によるタイヤ選択が有効となり、ウェイトハンディが苦しいタフな状況ながら予選6位を手にした。薄曇りの中で迎えた決勝。35kgの搭載ウェイトと燃料流量リストリクターの1ランクダウンにより、本来の速さを発揮できないものの、持ち前の粘りあるパフォーマンスで攻防戦を凌いでいく。フラストレーションが溜まる戦いながらミスのない走りに集中することで、終盤はテール・トゥ・ノーズを展開し、逆転劇も披露。最後の最後まで攻めの姿勢を貫き、5位でチェッカーを受けた。

開幕戦から連続入賞の結果を残す一方、ウェイトハンディによる厳しい規制とも戦う中、第5戦は今シーズン3度目となる富士での開催となった。予選では、長いメインストレートを持つ高速サーキットで存分な速さを確保することが難しい状況となり、13番手止まり。一方、決勝では序盤からいきなりセーフティカーが導入されるという混乱を巧みに利用、激しいバトルを経てポジションアップを重ねていく。さらに、ルーティンのピット作業において装着タイヤを熟考したことが結実し、レース後半での攻めの走りにつながって5位フィニッシュに。この大会から実現した有観客開催で、ライバルとの攻防戦をしかと披露した。

ランキング6位で迎えた第6戦鈴鹿。燃料流量リストリクターが2ランクダウン、搭載ウェイトは42kgとシーズンを通して一番タフな条件での一戦だけに、持ち前の粘りあるパフォーマンスで厳しい状況を乗り切りたいと願ったが、実際は真逆の結果を強いられた。レース日和に恵まれた今シーズン2度目の鈴鹿。予選8番手からスタートし、ピットでの混乱を避けた早めのルーティンワークで後半にポジションアップを狙う戦略を採る。だが、ピットへの帰還直前、あろうことか後続車両に追突されて車両後部を激しく損傷。修復に時間を要して好機を喪失する。最後までレースは続けたが、惜しくも周回数不足で完走を逃す結果となった。

これまで最終戦の舞台だったもてぎ。今シーズンは第7戦として2度目の実施となる。前回の鈴鹿で戦うチャンスを奪われ、そのリベンジを誓う中、なんと公式練習中に車両トラブルが発生。修復作業で走行時間が存分に確保できない事態に。だがぶっつけ本番さながらの予選で3位と好順位を獲得、逆境を跳ね返した。決勝は、NSX-GT勢同士が激しいポジション争いを展開。一時はトップ争いに加わるもののセーフティカーが導入され、思うような流れを構築できずペースダウンを強いられることになったが、NSX-GTが表彰台を独占する中で3位を獲得。ランキングでもトップと2ポイント差の4位へと浮上し、最終戦に望みをつないだ。

迎えた最終決戦。今シーズン4度目の富士は、王座そして未だ果たしていない優勝を懸けた一戦となる。予選は7番手と厳しい順位ながら、決勝では次々とオーバーテイクショーを披露。2番手まで浮上し、ルーティンワーク後も引き続き2位で周回を重ねるが、チャンピオン獲得は優勝が必須だけに、逆転の可能性を信じて最後の最後まで攻め続けた。そんな中、先頭車両が最終周の最終コーナーでまさかのスローダウン。チーム一丸の懸命の走りが大逆転をもたらし、シーズン初のトップチェッカーを実現! そして劇的な結末により、2018年以来となるドライバー部門、チーム部門のダブルタイトルを手にするという大きな成果を収めた。

コロナ禍でタフなコンディションの中、一戦一戦にフォーカスし、つねに全力を出し切る戦いをしようと誓ったチームが最後に掴み取ったチャンピオンタイトル。これまで経験してきたどのシーズンよりも緊迫感があった2020年のタイトルは、チームクニミツにとってなによりも大きな栄冠になることは言うまでもない。また、これまで長らく親しまれてきたチーム車両「RAYBRIG NSX-GT」のラストランで勝利したことも感慨深い。2021年シーズンは、引き続き”ニューノーマル”に沿ったレース開催になることが予想されるが、新たにスタンレー電気の名前を冠したゼッケン1の「STANLEY NSX-GT」を駆り、力強いパフォーマンスでSUPER GTのシリーズタイトル連覇を狙っていく。

RESULT / REPORT
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  • SUZUKA
  • MOTEGI
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GT500 DRIVER RANKING
Po No Driver Rd1 Rd2 Rd3 Rd4 Rd5 Rd6 Rd7 Rd8 Total
1
100
山本 尚貴
牧野 任祐
5 6 15 6 6 11 20 69
2
37
平川 亮
21 8 4 5 8 5 16 67
3
17
塚越 広大
ベルトラン・バゲット
20 3 20 1 1 6 8 59
4
36
関口 雄飛
サッシャ・フェネストラズ
15 15 11 4 11 56
5
8
野尻 智紀
福住 仁嶺
3 1 12 12 20 6 54
6
23
松田 次生
ロニー・クインタレッリ
2 20 3 20 4 2 51
7
14
大嶋 和也
坪井 翔
11 11 2 8 15 47
8
37
ニック・キャシディ
21 8 4 5 8 46
9
39
中山 雄一
6 5 6 2 20 3 42
10
38
立川 祐路
石浦 宏明
8 4 16 2 6 1 3 40
11
39
ヘイキ・コバライネン
6 2 20 3 31
12
64
伊沢 拓也
大津 弘樹
9 1 5 16 31
13
3
平手 晃平
千代 勝正
4 3 5 4 8 5 29
14
16
武藤 英紀
笹原 右京
1 11 5 8 25
15
12
佐々木 大樹
平峰 一貴
3 15 2 4 24
16
37
山下 健太
5 16 21
17
19
国本 雄資
宮田 莉朋
2 1 4 2 1 10
18
39
阪口 晴南
5 5
19
24
高星 明誠
ヤン・マーデンボロー
1 3 4
GT500 TEAM RANKING
Po No Team Rd1 Rd2 Rd3 Rd4 Rd5 Rd6 Rd7 Rd8 Total
1
100
TEAM KUNIMITSU
8 9 18 9 9 14 23 90
2
37
TGR TEAM KeePer TOM'S
23 11 7 8 11 8 18 86
3
17
KEIHIN REAL RACING
23 6 23 4 4 9 11 80
4
36
TGR TEAM au TOM'S
18 18 14 3 1 7 2 14 77
5
23
NISMO
2 5 23 6 2 23 7 4 72
6
14
TGR TEAM WAKO'S ROOKIE
14 14 5 11 18 3 3 68
7
8
ARTA
6 1 1 14 14 23 9 68
8
39
TGR TEAM SARD
9 8 9 5 23 3 6 1 64
9
38
TGR TEAM ZENT CERUMO
11 7 18 5 9 4 6 60
10
3
NDDP RACING with B-MAX
7 6 8 7 11 1 8 48
11
64
Modulo Nakajima Racing
1 2 11 4 1 8 18 1 46
12
12
TEAM IMPUL
3 1 3 6 18 5 7 43
13
16
TEAM Red Bull MUGEN
1 4 14 8 3 11 1 42
14
19
TGR TEAM WedsSport BANDOH
5 1 4 7 5 3 2 27
15
24
KONDO RACING
4 2 3 1 1 6 1 1 19
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